第46回神奈川大学吹奏楽部定期演奏会 本文へジャンプ
 今年もやってきました神大定期。
 今回も、聴きたくても行けなかった神大ブラス関係者。また、この3000人以上入るホールにチケット完売のため、買えなかったファンのために明和てれび、実況中継いたします。今年もよろしくお願いします。

2011年1月4日 東京芸術劇場大ホール 17時15分開場 18時開演
指揮:小澤俊朗 保科洋


 私は17時15分ごろ会場に到着。
 「うむうむ まだ早いな。珈琲でも」と思い1Fの喫茶へ。
 なにかお店の人にブツブツ言ってるご夫婦らしき人。おや、耐震建築士としてテレビで有名な長島さんでは
 「こんにちは」
  「おぉ」
 と、コーヒーを飲みながらお互いの子供のことなどを話す。私たちの年代はそろそろ子育ても第4楽章ですね。

 飲み終えて2FのOB会受付へ。
 そこには、「チューバのタビーちゃん」での歴史にのこる名ナレーター浅井さん。「ジェリコ」で自由曲1位を取った(結果は銀でしたが)玉川さん、作曲家天野正道氏の後輩、私が4年の時、課題曲:浦田健次郎「プレリュード」で長い長いティンパニソロを抜群の音楽性で演奏をした佐藤君夫妻と再会。

 客席は、1Fの一番奥。この場所はステージからの直接音と各壁面に跳ね返った間接音が混ざり合う席。あまり良い席とは言えませんが、いや、OBはここでいいのです。

 隣の席には浅井さん、玉川さん、そして苦しい練習の中いつも笑顔を絶やさずみんなをやさしい心で包んでくれたへいちゃんこと太田夫人。

 演奏が始まるまで年末のBS朝日「響け吹奏楽」での山本佳弘のことが話題に。
 テレビで昔と変わらないヘアースタイル、にこやかな笑顔。
 懐かしいなぁ。

浅井さん「山本に会いたいなぁ」

 私も山本との事が、いろいろ思い浮かんできました。
 玉川さんは現在も高校生の吹奏楽指導をなさっていて、時折山本を呼んで指導してもらっているようです。
「彼に見てもらうとバンドの音が美しく響くようになるんだ」そして
「彼は、どこから見つけてくるのか、美しく歌いやすく、きれいに響く曲を見つけて、その曲を小編成でも演奏しやすいように編曲してるんだ」

 そういえば、彼が大学に籍を置きながら前橋女子高を指導していたころ、私に
「なにか初心者にできるやさしい綺麗な曲ないか」
 と聞かれ、「『野ばらによす』という曲はどう?」と進言し
「じゃあ木野、初心者の30人編成用にその曲編曲してくれ」と言われ作った記憶があります。
 1が月ほどして、山本と前橋女子へ行ったときに、私の編曲した「野ばらによす」を団員達が演奏してくれました。ほとんど初心者のこのバンドでしたが、私の未熟な編曲をとても丁寧に音符をすべて大切に演奏してくれたことを覚えています。
 その数か月後、この初心者だらけのバンドはコンクール初出場にして県大会金賞受賞という偉業を成し遂げたのです。
 私が感心したのは、行くたびに彼女たちの人間的成長を見たことです。
 山本は、単に吹奏楽部のレベルを上げるということだけでなく、吹奏楽を通して一人一人の人間を成長させていたのです。
ハーモニーを作りながら相手を思う気持ちを育て、
コンクールを通じてみんなの心を鍛える。

彼は、吹奏楽の指導者と同時に教育者なのだと思いました。

BS朝日の番組で、彼がにこやかに、そしてゆっくりと部員に話してました。
「ていねいに」
 「もっとていねいに」
  「もっともっとていねいに」

こういう先生に指導される生徒は幸せでしょう。

あっ
彼の、もうちょっと低いレベルのエピソードを思い出しましたが、
えーと、えーと
せっかくいい話でまとめたので、この、落ちる話はまた別の機会に
と思いましたが、とりあえず題名だけ

「反町ロマン座芸術鑑賞研究」
この研究には部長の高木も積極的に参加し、音楽の「艶」の部分に成果がありました。
「ポテトチップス円柱空箱継足階上新婚音響伝導実験」
これは工学部の私たちが理論を実験により検証したという学術的話です。
えーと、そのくらいに、、、

楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第一幕への前奏曲/ワーグナー
 我々にはとても思い出深い曲です。私が1年生の時、神大歴史上たった1つの貴重な「銅賞」を受賞した曲です。あの時の思い出は忘れることはできません。皆様にもお話ししたいところですが、これも別の機会といたします。
 この曲は最初の音が重要で、この1発がこの曲全体を決めるのです。
 しかし、ちょっと残念にもピッチが、
 特にユーホからトランペットへの金管ラインが揃わず重要な一発が不発になってしまいました。まあしかし1曲目の1発目は難しいものです。
 難しいものですが神大には何とかしてほしいものです。
 しかし、そのあとがさすが神大
 中低音が汐の満ち引きのように近づいたり遠のいたりとゆっくりゆれ、その大きな波にのって木管楽器が朗々とワーグナーらしく粘って歌い上げる。中間部のリズミカルな部分ともったりとした低音部の対比、そのあと堂々と歌いあげるトロンボーン。
 最後はワーグナーの重厚感をいっぱい楽しむことができました。

司会者登場
 司会者は黒とグレーの横縞模様のひざ上ワンピース。
 この服装ですが、もう少しスカート丈を長くして、落ち着いた感じでの衣装にお願いしたいと思ったのですが皆様はどうでしたか。
指揮者や団員の正装に対して司会者の服装が少し軽い。

 吹奏楽はクラシックでもなく、ジャズでもなく、司会者の方も服装をどの程度の重さにすればいいのかと悩まれたことと思います。色合いは落ち着いた感じで良かったのですがもう少し配慮いただければと思った次第です。

 実は、私は以前から神大定期の司会者には私の隣に座っている浅井さんが適任ではと思っています。

 今までは仕事の関係で休日は無理と諦めていましたが、仕事も変わり土日休みとの事。ちょっと考えてはいただけませんでしょうか。

浅井さんなら神大の生き字引。吹奏楽全般のことだけでなく神大ブラスの歴史、資料も豊富です。きっとすてきなコンサートを演出してくださることと思います。

小澤先生、是非考えてください。


吹奏楽のための組曲/兼田敏
兼田敏大好きの私なんですが、この曲まったく知りませんでした。
  前奏曲
他の兼田先生作品にはない明瞭なハーモニーで始まりましたが、途中から兼田節と言いましょうか、下降するメロディが上昇しながら積み重なる独特なメロディが現れます。
この下降するメロディは高昌帥氏にも影響を与えていると思うのは私だけ、、
  ワルツ
しっとりと踊りたくなるメロディがながれ、それをウインナワルツのように小澤先生仕上げてます。ただ生意気を言うと私は、2泊目3泊目をもう少し軽く、スピード感のある表現にしていただいた方が好みです。
  間奏曲
2曲目のワルツの雰囲気を引き継ぎ、しっとりしたメロディが続きます。
  終曲
音の飛び方は兼田先生らしいのですが、サウンドが今まで私が聴いてきた兼田先生の曲とは違います。なんというか標準語といいましょうか方言のないクセのないオーソドックスなものでした。。
 それにしても神大のクラリネットは綺麗です。

マーチ!マーチ!/兼田敏
 この曲も初めてか、と思いましたが、あぁ、思い出しました。兼田先生の音楽葬で式典が終わり、皆が別れを惜しんでホールのホワイエで演奏していた曲です。
 トランペットのファンファーレで始まり、シンコペーションのメロディが流れてきます。途中2拍3連があってリズムの変化も楽しませてくれます。味のある軽やかなマーチ。
 最後、小澤先生は指揮棒を水平に動かして音を止めました。こういう音の止め方は吹奏楽の指揮者ではクセのように多用する人いますが小澤先生がこういう止め方をしたのは私の記憶では初めてのことでした。
 この点、とても印象に残りました。

ウインドオーケストラのためのヴァニタス/高昌帥
 ヴァニタスとはラテン語で空虚という意味だそうです。日本で言う「諸行無常」ですと司会者は言ってましたが、余計にわからなくなってきました。
 プログラムには「むなしさ、人生におけるあらゆる物事は死の前に無力であり、人間の弱さ虚栄のはかなさといった一種の死生観の概念にむすびついて・・・」
ますますわからなくなってきました。みなさん演奏を聴いて理解いたしましょう。
 全国大会も聴いた私としては、コンクールの時より皆さんは大胆に自信を持って表現できてたと思いますし、聴衆の人たちも理解しやすかったことと思いますが、大まかにも感じられ、私はコンクール時の緊張感ある繊細な表現の方が好きです。しかし逆にコンクール時の演奏は細かすぎて分かりずらいという声も聞こえたので、この辺は趣味の問題かな。
 こんなすごい演奏をコンクールの1番目(出演順番)に演奏したのか。これを聴いたら(他大学は)震え上がるよね。っと玉川氏。

休憩

バレエ音楽「三角帽子」パートT/ファリャ(arr保科洋
 指揮者が保科氏に変わる。
 司会者が保科先生は兼田敏先生と親友であったことを紹介。
 スペインの明るさ、おおらかさ、情熱がむんむんと伝わってくる演奏でした。コンクールで聴きなれたパートUのような派手な終わり方ではなかったため演奏終了後、拍手していいものかと戸惑う聴衆も多く、戸惑いながらの拍手に。

 保科氏「よく演奏されるパートUの派手さはありませんが、私はパートTが好きで皆さんにも知ってもらいたいと思い編曲しました。」

復興/保科洋
 2010年ヤマハ吹奏楽団がコンクールで演奏し好評だった曲だそうです。
 最初、クラリネットがカタストロフィー(ご存じない人多いと思いますが、神大の名誉OB会長遠山先生の浜松工業高校がコンクール初演して金賞を受賞した曲です。私の同期橋本君が当時浜工のメンバーに入ってました)のように不気味な旋律を奏でる、効果音としてティンパニの上にシンバルの片方をを逆さに置きそのシンバルをたたいて不思議な響きを出していました。
 その後、テンポアップし不気味な旋律が駆け足のように迫ってくる、そして再びゆったりとしたテンポに戻り木管の不安定な旋律に金管楽器が短い音を刻み急き立てる。最後は希望に満ちあふれたメロディが流れ、不安定なメロディを蹴散らし希望に満ちて終わる。という感じの曲でした。

 こうして保科先生と小澤先生の2人の指揮を聴いたわけですが、違いがとてもはっきりしていて、保科先生は拍子と拍子の間に都会的透明感、スピード感があり、対する小澤先生はその拍子感に深さがあり、重さの変化が感じられる。

 ビールでたとえればキレの保科、コクの小澤

歌劇「アイーダ」第二幕より凱旋の場
 左右のバンダに金賞受賞高校のストレートトランペット隊。舞台をみて左手に青い制服の片倉高校吹奏楽部、右手は赤い制服の東海大付属高輪台高校吹奏楽部
 曲が始まると左右の高校生の音色の違いが分かります。
 片倉高校の渋い響きに対して、制服のように明るく豊かな響きの東海大。
 左右の高校生の協力を得て会場にブラスの輝かしい音色が響き渡り、とても気持ちよく終わりました。

アンコール
「ラデッキー行進曲」演奏後、正月なので演奏しました。と小澤氏。ベルリンフィルのニューイヤーコンサートでも定番ですね。
そしていつもの「みそらひばり」と「星条旗」
心温まる大拍手の中、全てが終わりました。
卒業生の皆様お疲れ様でした。
今回は技術的にも精神的にも深い曲が多く神経も使ったことと思います。
2011年は青森です。
遠いです。
でも、有志のみなさん。頑張って応援に行きましょう。