神大サマコン2008 本文へジャンプ

神大ブラスファンの皆様、1年間お待たせしてしまいました。このところ定期演奏会の中継を私用で欠席することになり、ファンの皆様には辛い思いをさせてしまいました。すいません。

1年ぶり明和テレビ「神大サマコン」実況中継を開催いたします。

 2008年6月22日(日)開場12:45 開演13:30 横浜みなとみらい大ホール

1時ごろ会場に着き、OB会事務局の佐藤さんよりチケットを頂きました。

ここで、一度佐藤さんについて皆様にお話したいと思います。私は佐藤さんがいたから今の神大があると思っております。佐藤さんが部長のときに神大は大きく変わり、小澤体制のスタートとなりました。

佐藤さん達初金会のメンバーは皆すごかった。全員が部長になれる器だったと思います。僕の記憶では皆が部長になりたいと思って部長を目指し、その中で結局佐藤さんが選ばれたと記憶しております。したがって佐藤さんは部長の中の部長なのです。

当時から貫禄もあり、カリスマ性もあり、皆を導き、時には激怒して我々を引っ張り、神大の大きな転換期を見事に導いてくださいました。

それにくらべ我々吹響会は誰もが部長の器ではなかったような気がします。これは、初金会の先輩がしっかりしすぎていたため、ただ付いていけば良くしっかりする必要がなかったのです。

吹響会のメンバーは、初金会の皆様に比べれば、運営より楽器、音楽というメンバーで、皆、学生指揮者を目指していたような気がします。

山本(今は山本教生と言う名で作曲家になっている)、山崎(ホルンの音も歌い方も素晴らしい)、中屋(クラリネットだけでなくバイオリンも上手かった)とか。皆、楽器も上手いし音楽に対する知識、考え方など立派なものでした。結局私が学生指揮者(最後の学生指揮者)になったのですが、私が一番音楽的に優れていたというわけではなく、指揮をやりたいという意思が一番強かったのかなあと思っております。

30年経っても昔とすこしも変わらない佐藤さんを見て、つい、昔のことを思い出してしまいました。

さて今回、カタログが面白い。

本ではなく1枚の紙を4つの折り目をつけて、屏風のように折りたたみ、裏表10pにしたカタログです。大きさはA3を縦に2枚並べたくらいのものでした。

開演

オデッセイー永遠の瞬間へ(とわのときへ)/真島俊夫

ご存知真島先輩。今や世界の真島先輩の作品です。

悶々としたトロンボーンのグリッサンド、そして一気に盛り上がります。

愛らしいテーマを木管が、それに応える形でホルンが、再び木管が先ほどのテーマを、そしてホルンが応える。曲は波が次々と押し寄せるように愛らしいメロディが流れてきます。一旦盛り上がったあとにオーボエが最初のテーマを歌います。

前にも言いましたがこのオーボエの音、好きです。神大のオーボエは歴史的に名プレーヤーを多く誕生させていますが、この子の音も歌い方も私は大好きです。今年はコンクールお休みの年ですが、できたらコンクールで彼の「サロメ」も聴いてみたいと思っておりました。

歴代の「サロメ」のオーボエ奏者とは、また違った味のあるソロをしてくれるはずでした。

そうこうしている内に、波が再び押し寄せ、こんどは激しく押し寄せどんどん迫ってくる。すごいスピード。そして、最後は再び最初の愛らしいテーマが全体をつつみ、とても気持ちよい心になって曲は閉じました。

いいメロディでした。

 司会はいつもの鴫原美香さん。白に紺色の模様のついたワンピース。上記の曲は陸上自衛隊中央音楽隊の依頼で作曲された曲だそうです。

2008年吹奏楽コンクール課題曲より

W:伝馬の道〜吹奏楽のために〜/片岡寛晶

天馬とは天帝を乗せて空を自由に飛ぶ馬のことらしい。馬といえば、このところ私の東京出張の宿は汐留の三井なんとかかんとかイタリア館というところで、最上階に大浴場があり気に入っているホテルです。ホテルの周りは名の通りイタリアの風を感じるお洒落な街、その一角にヨーロッパ調の素晴らしい建物があるのですが、なんとそこはJRAの「ウインズ汐留」だったのです。当日午前中 私は当然のように その建物を訪れ、モニターやデータを見ながら函館、新潟、阪神の1Rに投資したのであります。しかし、全て惜しくもはずれ、その投資額はそのまま農林水産省に持っていかれたのです。

そんなことを思い出しながら曲を聴くと、最初は日本の田舎の雰囲気を漂わせるような音が流れ、その田舎を見渡すと、その中にひときわ凛々しく輝く馬。まさに王者の雰囲気を漂わせるような馬がいる。

たとえればティーブインパクト。

馬は落ち着いてゆっくり周りを見渡す、そして馬が走り出す。スピードが出て景色が流れていく。

馬は丘の上まで来て立ち止まり、透き通る青空を見渡す。

NHKの時代劇テーマ曲のような曲だ。

鞭が入り馬が走り出す。馬は騎手でなく鞍上の天帝の心を感じ、息のあった走り方を見せる。私がウインズ汐留で買った馬とちがう。てなような曲でした。

V:セリオーソ/浦田健次郎

作曲家の浦田先生は、私が4年のとき「プレリュード」という曲の指導に来てくださいました。その時、ハラハラするような思い出があります。

練習終了後、浦田先生を「末吉」(焼き鳥や)へ接待し、たしか私と高木部長、あと小澤先生がいたかどうか、小野さんはいたような気がする、佐藤さんもいたような気がするけど覚えていません。

浦田先生は、ひたすら益酒で酒を飲み、つまみは一切食べず、もっぱら塩だけ舐めながら日本酒をぐびぐび飲んでました。

そうとう強い人と思い、

我々はどんどん注ぐ、先生はどんどん飲む、

我々はどんどん注ぐ、先生はぐんぐん飲む。

そうこうしている内に先生が立ち上がり、トイレかなと思ったらそのまんま前に倒れてしまったのです。

ど、、どうしよう、

先生は動きません。

私たちは青ざめました。偉大なる作曲家に万一のことがあれば、

しかも神大で、

まずい!

誰かが救急車を呼ぼうとしたとき、ぬくっと先生は立ち上がり、再び何事もなかったかのように飲みだしたのです。

ふぅーー、よかった、、

あの時は、本当にどうなることかと心配しました。いまだに生きてみえるからこの曲も生まれたのです。

よかったよかった

さて、曲は、ピッコロとバスクラのユニゾン、拍子感も音程の変化も感じさせないように小澤先生は静かに緊張感を持たせて演奏している。

金管が笙のように響き、再び木管静かにテーマを演奏、

そして曲がにわかに動き出す。渦巻きのように回りだす。

凛とした空気の中に時折閃光のような光が見える。金管低音がおどろしい空気をかもし出す。再び木管が動き出す。龍が舞っているようだ、すごい緊張感。打楽器が心臓の鼓動のような音を出す。最後は龍が再び激しく舞って終わる。

すばらしい緊張感のある演奏でした。

たぶん、この曲は今年の本命ではないでしょうか。実力のあるバンドで表現力豊かな指揮者しか演奏は無理でしょう。

地区大会では取り上げる団体は少ないけど、全国大会では多くの金賞受賞団体が取り上げてくることでしょう。多分佐川先生の文教はこの曲ではないかと思われます。というより聴いてみたい。

吹奏楽のための交響的印象「海響」/和田薫

銚子の風土をテーマにした作品のようだ。銚子市出身の小澤先生が銚子の祭り、市電、市電の赤字経営を立て直した”ぬれ煎餅”の話題をスピーチ。

曲は激しい音塊が犬吠埼に打ち付けるような打撃音で始まる。荒々しい港町の男たちを表現しているようだ。

その後、一転して穏やかなメロディが木管により表現される。

優しく暖かい雰囲気。

「やぁ!」というかけ声と共に、祭りが始まる。ピッコロが篠笛のような祭囃子のメロディで和太鼓のリズムに乗る。それに他の木管、金管が重なりににぎにぎしく終わる。という感じ。

休憩

ロビーで佐川さんや、佐渡さんなど著名人とお友達の田原会長とご挨拶

「最近、君のホームページ更新してないね」「すいません。サマコンはアップいたします」


エル・サロン・メヒコ/A・コープランド

実存するメキシコのダンスホール「エル・サロン・メヒコ」を題材にした作品。

最初のけだるい雰囲気、とてもよく表現されてました。その後、ファゴットとバスクラの有名なテーマが流れ、そのあとのクラリネットの休符の表現(間)が見事。

次にオーボエから次のテーマが始まり、いろんな楽器が重なる。このあたりのテンポ感、重さもグッド、大太鼓の重厚間のある1発も決まる。

サックスとバスクラの掛け合い、この時の”間”もフワァと溶けてしまうような見事な間合い。ほんとに小澤先生はすごい。

クライマックスへのテンポもハショルことなくジワジワとリズムに深みを持たせ、色彩感も鮮やかにメキシコの雰囲気をかもし出してました。

三つの夜想曲より「祭り」/C・ドビュッシー

私たち吹響会4年次の自由曲。人数が少なくて(たしか39人)初心者も多く、曲が途中で止まってしまうのではと「ハラハラ」「ドキドキ」のコンクール本番時を思い出します。

宇留間のソロが間延びしたときは、ほんとにどうなってしまうのかと思いました。3拍子の中に宇留間1人が4拍子で演奏しているような不安な気持ちでした。

しかし、それが、あとでレコード(私たちの頃はCDでなくレコード)で聴いてみたら、絶妙の「ゆれ」とも感じられる名演、いや、迷演。

宇留間は天才なのかもしれない。

150名も部員のいる現在では考えられないことですね。

さて現役の演奏はやさしいテンポ感で始まり、はしゃがない、落ち着いた雰囲気。ブラスのファンファーレもとても大きな優しさを感じる豊かな音。直線と曲線が交錯してその混ぜ具合が最高。

中間部の祭りの行列は、ハープとティンパニが不思議な雰囲気をかもし出し、夢世界へと導かれ、そしてクライマックスへ。

アルプスの詩/F・チェザーニ

コンクールで良く取り上げられる曲。7部構成の描写的な曲です。

異次元の霧の中からかすかな光が見える。光はゆれながら見え隠れする。

金管低音が哀愁を帯びたテーマを奏で、そのテーマがピッコロに移り、優しくゆれる。

その後、激しい光がアルプスを覆い、全体が荒々しく動く、

しばらくしてオーボエがやさしくテーマを演奏、それにつられて中音も続く、

テーマの雰囲気が変わり少し不安になるが、再び優しいメロディがテュッティで演奏され広々とした緑の高原が目に浮かぶ。

ホルンがカウベルの音を伴奏にアルペンホルンのようなメロディを演奏する。オフステージのホルンとの掛け合い。

そして風の音と共に嵐がやってくる。風が海の波のようにいくつも押し寄せる。

とても怖い、

いつまで続くのかと不安になる。

嵐はどんどん激しくなり、打楽器が強烈な音を出し、その中からブラスがテーマを重々しく演奏している。

やがて、嵐は少しずつ収まり、オーボエが天空から優しく語りながら降りてくる。クラリネットが地上からそれに応える。クラのテーマは広がり、木管全体が優しいメロディを奏でる。

私の気持ちはすこしずつ落ち着きを取り戻し、穏やかな日々に感謝する。

優しいメロディが波のようにいくつも流れてくる。

この頃は私の体が震えだし、目から涙がこぼれ出そうになる。ぐっとこらえるが、2,3筋出てきてしまった。

曲は雄大に、そして優しく終わる。

ブラボーコールと大拍手。

「音楽は生きる喜び」

私は素晴らしい演奏に出会うと、いつもこの言葉を思い出す。兼田敏先生の言葉です。

なんとかいうマーチといつもの美空ひばり、星条旗とアンコールは続きました。

このところ、プロの素晴らしい演奏を良く聴きに行く私ですが、神大の演奏は、プロと比べれば音1つ1つ細く劣っています。全体の音も一流のプロと比べれば洗練されてはいません。

しかし、プロに劣るアマチュアが、一生懸命練習して少ない技術を惜しみなく出し、精一杯表現する姿、そして、その演奏を引き出す小澤先生に感動してしまいます。

感動とは技術を越えたもの、と 思いました。

とても素晴らしい演奏。ありがとうございました。

コンクール休みの今年、神大はイタリアへ世界吹奏楽コンクールに出るようです。気をつけて行ってらっしゃいませ。

以上明和テレビ神大サマコン実況中継でした。

 

兼田敏先生音楽葬はこちら↓

http://www.meiwa.tv/new_page_293.htm