それは、2001年7月20日「海の日」の出来事でした。
20日はインスタート10番からとなりました。
10番は皆ラフで該当者無し、つづく12番ショート、水野氏ニアピン権利獲得パーセーブもOK、しかし江畑氏がグリーン外からパーセーブして持ち越しとなりました。
15番3つ溜まったショートは全員池ポチャで持ち越しに、
17番4つ溜まったロングは水野氏ドラコン獲得もパーセーブできず持ち越し。
コース変わってアウト1番5つ溜まったロング。これも水野氏ドラコン獲得もパーセーブできず持ち越し。
水野氏はドライバー本当に飛ぶようになりました。あのドライバー(キャラウエイ社)芯があったんです。
さて、次は6づ溜まった3番ショート。これも水野氏がニアピン獲得。パーセーブも達成。しかし、
木野氏がグリーン外からパーセーブして持ち越しに。嗚呼、と天を仰ぐ水野氏。この人さえいなければ、、、
そして、こんどは7つ溜まった6番ショート。なんと3人ともグリーンオンに。一番近いのは明らかに江畑氏。
喜ぶ江畑氏。木野と水野氏はがっくり肩を落としました。全員グリーン上なので消す事も出来ません。
1人を除いて重い足取りでグリーンに向かうと、なんと神のイタヅラか、ティーからは全員乗ったかにみえましたが水野氏のボールがほんの僅か外れカラーに、そこから水野氏がパーを取れば持ち越しとなります。
いつになく緊張する水野氏、グリーン上はこのメンバーとは思えないほどの静寂。その中で水野氏の古びたパターからボールが打ち出された。「入れ」「入るな!」。思いの交錯するグリーン。ボールは一方の思いを打ち破りそのままカップに入りバーディ。
先ほど恨んでいたはずの木野氏と握手する水野氏。このルールは昨日の敵は今日の友を作り出します。そして、その横でうなだれる江畑氏。
この場面は上手く書けませんが映画の1シーンのような感動的場面でした。
さあ、いよいよこれが最後の8番ロング。8つ溜まって、これさえ取れば間違いなく勝者。スコアなんて関係ありません。
この日、ドラコン権利を総なめした水野氏がオナー。しかし、いままで振り切ってたスイングが緊張の為振り切れず右に真っ直ぐ飛ラフへ。
2番手の私(木野)は右バンカーの左淵を狙い、そのとおりの場所へ、今日はじめてロングでフェアウエーキープ。
最後に江畑氏が打つも、少し体が開きフェアウエーを少し左に外す。距離は3人ともほぼ同じでしたがフェアウエーにおいた私に先ず8つの権利が与えられる。ここから私がパーをとり、他の2人がボギー以上なら私の勝ちです。
ドラマはクライマックスです。私は3打目グリーン一番奥のところ、カップからは26歩地点に乗せる。水野氏は4打目がホールより約10歩くらいの私の反対側。そして、江畑氏の4打目1メートルくらいのほぼパーセーブ確実のところでした。この時点で江畑氏のパーは間違いなく私はほとんど諦めておりました。ただ、とりあえずパーは取っておこうと思い、4打目をOKのところにつけパーセーブ。
あとは、水野氏、江畑氏の失敗待ちとなりました。私は生まれて初めて人の失敗を祈りました。神様お許しください。
まず水野氏、もともとこのくらいの距離は得意の水野氏。
6番と同じように緊張の表情を見せて打たれたボールは、僅かに外れボギー。
1人落ちました。しかし、まず確実に入れる距離にある江畑氏がいるので、全く決まった気持ちになれない私。
ほとんど確実に入る1メートルのパーパット。
この時江畑氏は6番のショートの事を思い出す。てっきりニアピン獲得と思って洋洋とグリーンに近ずけば、水野氏のボールがカラーに。あれさえなければ、あれさえなければの思いで、ボールに集中できない江畑氏。
硬い体を動かしボールをヒット。安全に入ると思われたパーパットが緊張の為手がかぶりカップをはずす、よもやのボギー。「あぁ!」 江畑氏しばらく顔を上げられず。キャディさんの慰めの言葉も青い空に消えていく。
これにより、今まで全く参加してなかった私に全てのドラコン、ニアピンが入り勝利を手にしました。
こんな事があっていいのか。ほとんど全てに参加してきた水野氏は思った。
6番で手中に収めたはずのニアピンを取れなかった江畑氏も思った。
「このルールはおかしい」
そう、そこで、緊急理事会がひらかれ、今回のルール改正に至りました。