名古屋フィル第343回定期 本文へジャンプ
名古屋フィルハーモニー第343回定期演奏会

2008年1月18日名古屋フィルの定期演奏会に行ってきました。私はここ2年位前から名古屋フィルハーモニーの定期会員(1番安い席を年間契約している)になってほぼ毎月名古屋フィルの演奏を聴いております。

今回のコンサートは定期会員になってから一番すばらしく、感動したので皆様にご紹介したいと思います。

演奏:名古屋フィルハーモニー交響楽団

会場:愛知県芸術劇場コンサートホール 2008年1月18日

指揮:尾高忠明  オルガン:鈴木雅明  メゾソプラノ:寺谷千枝子 テノール:三原剛

合唱:岡崎混声合唱団、愛知県立岡崎高等学校コーラス部 合唱指揮:近藤惠子

「フレンチ オルガン コネクション」

尾高惇忠:オーケストラのための「肖像」

プーランク:オルガン、弦楽とティンパニのための協奏曲ト短調

デュリュフレ:レクイエム作品9

全て始めて聴く曲でした。全ての曲が納得できる良い演奏でしたが、特にレクイエムについての感想を載せたいと思います。

一体どんな曲だろう、と期待を胸にプログラムを見ると合唱団はアマチュアのようです。

「なんや、素人かいな。」

合唱団は、愛知県立岡崎高等学校コーラス部、そしてそのOBの岡崎混声合唱団。アマチュアとして結構有名だそうですが、所詮プロとは違うだろう。と、

曲は、その合唱団から始まりました。

第一声を聴いて、

やはり、素人。体の使い方も上手くない。歌というより声の集まりです。

でも、上手くないゆえのリアリティがあり、音楽とかではなく、民衆の祈りの声として聴こえてきます。

必死の祈りが100人のオーケストラに乗り一体となって立体的に私の心に響いてきました。

彼らの言葉が私の心臓を震わせる。

そして、じわじわと祈りの声に目元が熱くなる。

「うぅ、まずい、、」

どうしたんだろう、私の目は涙を流す準備が完了しているようだ。

感動して泣きそうになるのは、映画の「陽はまた昇る」「三丁目の夕陽」を見て以来です。

プロの合唱団にはこんなに感動した記憶はないのに、どうして素人の歌声に心震えるのだろう。

曲は合唱団、オーケストラ、パイプオルガンが交互に主張しあい、そして、そのすべてが一体となり色彩豊かに演奏され聴衆に訴えてきました。

そして最後に指揮者がぐっと祈るポーズをして壮大な「レクイエム」は幕を閉じたのです。

しばしの静寂のあと、満場の拍手。

指揮者が合唱団をたたえると、合唱団のみんなも拍手をしています。

そして演奏者も合唱団も指揮者もパイプオルガンの人も、もちろん観客も全員が拍手!

私は、また熱いものがこぼれそうになる。合唱団も泣いてる。

名フィルの定期会員になって、これほど感激した演奏会は初めてです。


長くて熱い拍手の後、オーケストラの退場とともに拍手はなりやみました。


私も帰ろうと席を立ち、歩いていると、また会場から拍手が。

振り返ってステージをみると、オーケストラに続いて合唱団の皆さんが退場する時、観衆が素人の合唱団に向かって再びお礼と感謝の拍手をしているのです。


私も、また振り返って合唱団に拍手。その拍手は合唱団の最後の一人が退場するまで鳴りやみませんでした。


本当に素晴らしかった。


一生懸命に伝えようとする姿は、技術を越えて人の心に伝わるものですね。

また、このところが芸術にとって大切なところと思った次第です。


とてもいい勉強になりました。岡崎高校の生徒たち、合唱団の皆様、そして、この曲を見事に理解させてくれた尾高指揮者に感謝します。