第48回神奈川大学吹奏楽部定期演奏会 本文へジャンプ

あけましておめでうございます
新春といえば神大定期
チケット早々に完売。本当にいつもありがたいことです。
本日もチケットを買えなかった皆様、日程が合わず来れなかった皆様のために"明和てれび" 独占中継いたします。

このところの痛いほどの寒さも和らいだ2013年1月6日、みなとみらい21大ホールにて第48回神奈川大学吹奏楽部定期演奏会が開催されました。

いつものようにOB会受付に行くと既に佐藤部長さんの周りに4、5名の先輩方が歓談されてます。
一回り成長された(ウエストサイドストーリーのことです)田原会長、OB会掲示板管理人の益田さんもみえてました。
益田氏「お前はどこか悪いとこないか」
アラカン世代が集まると、こういう話題が多くなるのです
私「不健康なところ以外は健康です」

私に渡された席は1階席中段よりやや前の下手側(客席からステージを見て左側)、お隣さんは地震に極端に詳しい建築家の長島さん夫婦と太田夫人。長島さんから昨年の先生のお話をすこし聞きました。
昨年はコンクールお休みの年なのに、神大ヨーロッパ遠征もあり先生も部員も大変有意義な年でした。先生もお疲れの事だったと思います。

予鈴のあと上手下手から部員たち拍手に包まれての入場。オープニングの曲に合わせてトランペット12名が客席奥パイプオルガン前に整列。アイーダトランペットに「KU」の神大フラッグを付けてます。

リバティ ファンファーレ/ジョン・ウイリアムズ
ご存知、スターウォーズなどの映画音楽、ロス五輪テーマなどで有名なウイリアムズ。この曲の初演は自由の女神のある(お台場ではありません)ニューヨーク リバティ島にてボストンポップスオーケストラが自由の女神像修復完成記念式典(お台場ではありません。念の為)で演奏したんだそうです。

冒頭のファンファーレの鳴り(響き)が素晴らしい。失礼ながら、いつになくブラスセクションの響きが良い。特にトランペット トップの女の子、彼女がブラスセクションの豊かなサウンドの頂点に立って皆をリードしています。

トランペット隊は、楽器をゆっくり回して「KU」の旗を回して演出してます。ただ、できましたら神大らしく動きをキッチリ揃えて欲しいけど、まあいいか(広沢さんではありません:関係者以外分からない話ですいません)

アナウンサー岩崎里衣さん入場
例年アナウンサーにイチャモンつけてる私でしたが岩崎さんになってからは大満足です。服装は白のワンピース。部員が黒い服なので白は生えます。スカート丈は膝が半分隠れるくらい、これもOKです。デザインも良い。シンプルなのに存在感があります。話し方も抑揚がありすごく聞きやすい。しかも前後の音楽を壊さない。ブラビー(女性版ブラボー)です

歌劇「タンホイザー」序曲 / リヒャルト・ワーグナー
ワーグナーは今年、生誕200年というキリのいい年。ちなみに佐藤部長は生誕60年。ワーグナーも部長も各地で生誕祭が行われる事でしょう。

オーケストラのようにソロクラリネットとファゴットをひな壇にのせての演奏。
とてもゆっくりとしたテンポ。音のスピードを抑え重く感じさせるテンポ感。現役の頃、小沢先生からアレンジ物の注意点をご指導頂きました。

小沢先生「木野くん、弦楽器は音を止めても無数の倍音を含んだ余韻がある、しかし管楽器にはそれがない。だから、アレンジ物の時はオーケストラの演奏よりテンポアップするんだ、ゆったりと演奏はできないんだ、オーケストラの演奏より遅いテンポになると間が持たないよ。」

しかし、今日の演奏はオーケストラより遅いくらいです、でも多くのアマチュアバンドのような間伸びした演奏ではない。タンホイザーの虚しさを表現するため、あえてこのテンポに挑戦したのでしょう。

なんにせよこのテンポではトロンボーンの皆さんにはきつかったと思います。息が持たないんじゃないか。しかし今年のトロンボーンはスゴイ。私の心配を裏切りこのテンポでも浪々と歌い上げ、ホール中に豊な響きを届けてました。
演奏後、小沢先生トロンボーンを称えて立たせるかと思ったが、すーと帰ってしまった。

優しい花たちへ / 高昌帥
ここでいう「花」とは、女性 または、女性的な物 という意味だそうです。

先生は2泊のアウフタクトを取って曲に入ったのですが、このアウフタクトと始まった時のテンポが違う、アウフタクトより曲の方が早いのです。通常はアウフタクトはその曲最初のスピードを示すものであり、当然冒頭のテンポと同じでないとおかしい。
インテンポの演奏よりゆっくりアウフタクトすることで、ゆったりと歌うんだよ、と導いているのだろうか。
ここで、この曲を初めて聴く人が多いと思いますので、この曲のイメージを文章で表してみます。

初めに優しいと言うか、愛らしいテーマをクラリネットがしっとりと歌い、クラリネットからサックスへテーマが流れ、クラは伴奏にまわる。

木管アンサンブルが続くなか、オーボエは変化を見せる。不安な不安定な別のテーマを演奏、それを落ち着かせるようにクラが優しく奏でながら音楽が成長していく。

今度は最初のテーマをユーホニウムが演奏し、クラが伴奏する。クラリネット美しい。
何か、さまよいながら向かうべき方向を探しているかのようだ。

不安ながらもドアを開けると、そこにはやさいいお母さんのような大きな花(女性)が出迎え豊かな優しいサウンドに包まれる。

またまた最初のテーマをフルートが演奏。
次に金管中音がそのテーマを受け継ぎ。テーマを奏でるたびに花(女性)は成長していく。そして全体でテーマを演奏する。

いろんな思いがよみがえりながら、一段とかわいらしい花(女性)に成長して、みんなを大きな心で抱きかかえるように終わるという感じの曲です。

リンカンシャーの花束 / パーシー アルドリッチ グレインジャー
リンカンシャーとはイングランドのリンカンシャー地方の事、ここで民謡を集めて曲を作ったのだそうです。この曲は私大好きで、米国空軍、イーストマンなどのCDを多数持っています。

トランペット ソロの女の子、グーです。すばらしい。ホルンもグッド。神大は美しい木管楽器の響きを生かすために金管楽器の響きを抑えているようなところがありましたが、今回は金管ガンガン響かせています。この辺のサウンド構成いつもと違います。たしかに今年の金管スゴイけど、小沢先生は音量的にこれほど要求していただろうか、なにか音楽感が変わったのかなと思った次第です。

また、6曲目で「タンタンタン タンタンタン」とリズムを歌う小沢先生の声が聞こえてきました。昔いや大昔 指揮者だった私ですが、私なら自分の意図と違った表現の時に、ついそれが声になって部員達を引っ張ろうとすることもありましたが、多分部員は先生の意図通りの音を表現していたと思います。

多分このことは、自分を鼓舞しリードし先生自身を乗せるために声を出して指揮していたのではないか。と想像しました。

休憩
ヨーロッパ遠征中のDVDを販売中とのアナウンスがあり、売り場に走って購入、神大ブラスのボールペンをプレゼント頂きました。

アナウンサー登場
軽騎兵の解説をしてくれました。
岩崎「実は軽騎兵の台本は残ってないのです。だから、この歌劇は上演されることがないのです。序曲だけが残っているのです。」

私「へぇーへぇー・・・」76ヘエでした。

どうでもいいことですが、岩崎アナ は1部と2部で服装を変えてくる、ということは、ありませんでした。お色直しを期待していた岩崎アナ ファンの皆様、残念でした。

喜歌劇「軽騎兵」序曲
トランペット軽快にファンファーレを演奏。テンポ感、音の軽さなど完璧です。
その後の、金管中低音もすばらしい重厚感で続いてきました。
クラリネットのソロもグー。続く木管中低音のむなしい場面もほどよい重さで演奏してます。

吹奏楽のためのバラード1
1997年の演奏会で、兼田先生が神大でこの曲を指揮してくださったそうです。その頃は練習場に暖房器具がなく、部員は軍手の指の部分を切って、それをはめて練習し、兼田先生は釣り用のゴム製スボンを履いて寒さをしのぎながら指導して頂いたそうです。

そういえば、兼田先生は釣り好きで、とくに’ちぬ’釣りが好き、「夏はきぬ」の題名をもじって「夏はチヌだ!」と言ってた。というのを兼田先生の音楽葬で語られていました。この時、小沢先生が泣きながら弔辞を述べていたのを思い出しました。

兼田敏先生、岐阜大学教授の頃(私が高校生の頃)CBCラジオでDJやっていたこと、皆さんご存知ないでしょうね、とても面白かったんですよ。

音の少しずつ移りゆく変化を見事に表現できていたと思います。

交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」/
リヒャルト シュトラウス

冒頭のホルン 4オクターブくらいのソロがあります。
ホルンのソリストは、緊張するだろうなぁ、、、と想像しながら曲を待つ。

演奏が始まりました。
さあ、さあ、ホルンだっ、

オオッ おーー いいじゃん ブラボーです
きっと、ホルンソリストもこの部分が演奏し終わりホッとしていることと思います。
そして曲が進んで行ったが、

あ、あら、 ちょっと不安定になったぞ、
お、おや、 先生の棒が止まった。
ど、ど、ど、どうしたんだ、、

小沢先生、そのまま客席を振り向いて
小沢先生「えーー、この曲は大変難しいんです。えーー、もう一度はじめから演奏します。」

客席から拍手が沸き起こったが、私はホルン奏者の心境を考えてみた。
もし、最初失敗していたならこの演奏再開はプラスに働くだろう。
しかし、まずますの演奏が出来た場合は、逆に不安に思うのではないだろうか。心理状態は大丈夫だろうか、頑張るんだホルンさん。

曲が再開され、ホルンの場面。
うん、うんうん、まあマズマズだけど、最初の方が良かったかな。

とても不安要素のあったなか、ホルンさんよく頑張ったと思います。
小沢先生2回目は、指揮者というよりトレーナーのようなわかりやすく見やすい指揮方法に変えてきました。

プログラムの全ての曲が終わり、拍手の中、指揮者と私個人的に大絶賛の岩崎アナに花束。

そして小沢先生拍手に応えて指揮台に
雷鳴と電光 / シュトラウス
数年前と比べると、ウインナーワルツ とても上手くなってきました。とても、吹奏楽での音楽的表現が困難なウインナーワルツ。度重なるヨーロッパ遠征で、その空気と音楽が部員や先生の体に染み込んできたのでしょうか。

再び拍手の中

小沢先生「えーー、いつも来ていただいている方は、いつものです。初めて来ていただいた方は、横浜と天才歌手の歌です」
ということで、いつもの

美空ひばりメドレーと星条旗よ永遠なれ

今回のコンサートをまとめると、部員はよく練習されていた。完璧に出来ていたと思います。技術的にも音楽的にも素晴らしい良い演奏だったと思います。

ただ、いつもとすこし違ったのは、小沢先生独特のワンポイント主張がなかったかな。
小沢先生は、一つの曲のなかのココ!という部分を音量、艶、歌い方あるいは指揮の振り方を映像的に変化させて客席の皆さんにココ、ココなんだよこの曲のココを聴いてくれ、と訴えるのです。

しかし、たしかに左手を震わせ主張を見せる場面は多々ありましたが出てくる音にはココという主張がなく、たんなる1部分でなく全体的に柔らかな変化を見せて曲の主張を作り上げていたように感じました。

強引に先生が引っ張っていく演奏会ではなく、演奏者の方が自分たちで曲を練習し、理解して先生をリードし、先生は それもイイねと本番で部員達に同期している
つまり今回は部員やトレーナーさんにかなり多くのことを任せて、どれだけできるか確かめていたのかもしれません。そのように考えると今回の音は、新しい神大の響き、方向性ををチラ見できた演奏会でした。

とはいうものの
やっぱり小沢先生の、異常なまでのエグくて深い音楽感を、もっともっと楽しみたいと思っております。

ベルリンフィルハーモニーコンサートホールでの演奏
スメタナ音楽祭と

小沢先生にとって、超多忙な2012年だったと思います。
とりあえず ゆっくり充電して頂きコンクール年をスタートして頂きたいと思った次第です。

以上2013年 神奈川大学吹奏楽部第48回定期演奏会実況中継をお送りしました。
小沢先生、トレーナー、スタッフの皆様、部員の皆様。ありがとうございました。
そして、聴きにきてくださった皆様、売り切れで会場に来れなかった神大ブラスファンの皆様。
ほんとうにありがとうございました。

2013年も皆様にとって より素晴らしい年になりますようお祈りいたします。

全国大会は福岡です。 皆様 福岡で会いましょう。