前回のコンクールは 開場から開演まで時間が短く 慌ただしく落ち着かない雰囲気の中で開演を迎えたのです。
開場14:30 開演14:50 開場から開演まで20分間しかなかったのです。
その20 分でブレーンの予約を入れたり 朝日新聞の号外貰いたいのでアンケート書いたり、プログラム買ったり仲間と再会の挨拶したりと、すごく気ぜわしかったんです。
それが改善されてました。
13:00に開場され13:50開演と昨年より30分の余裕ができました。
場内を「遊学館高校」のジャンバーきた高校生があちらこちらに立っていて 手際よく入場者を案内されてました。座席に大きな字で座席の番号を書いたシールが貼られていて、席を見つける手助けとなりました。
「指定席15列10番から20番」「自由席1列10番から20番」という感じです。
何よりも凄かったのは最後の審査発表まで 1分の違いもなく進行していったこと。
とても素晴らしい。
それには、場内の入れ替え移動をスムーズにさせる工夫がありました。
舞台の上手と下手の反響版真ん中あたりに4、5メートル×2メートル くらいの通路が開き、演奏終了後に開いて打楽器や譜面たいの過不足分の移動用に使い、団員は舞台の下手花道から入場してから席についていく。
その誘導もちゃんと前の団体が移動し終わるタイミングで入らせる。という連携プレイ
見事です。さぞや打ち合わせや練習に時間を費やされたことと思います。
ただ一つ考えていただきたいのは、団体の演奏が終わり 指揮者がオジキをしている最中、まだ拍手が続いている時に両サイドの反響版通路が開いてスタッフが舞台に入ってきてしまうことです。この点は、せめて指揮者がオジキをし終わるまでは開けないで余韻を感じていただければと思った次第です。
ブーーという昔の映画館のようなブザー音のあと司会者がステージに上がり、開会の挨拶と審査員の紹介。
ここで気になったのは、審査員がプロ吹奏楽団の人ばかり。
音楽の審査なので、プロ吹奏楽団に偏らず、オーケストラの管楽器奏者や指揮者、もっと言えばピアノやバイオリン奏者でもいい。芸術的に評価をできる人に広げてほしい。
大きく芸術と捉えて 吹奏楽を独特の文化とさせず、芸術の中の一分野に位置付けられるよう審査員を選んで欲しいと思いました。
今回コンクールは相対評価でAを5団体 Bを4 Cを4団体につけなければなりません。
しかし音楽は相対評価ではありません。我々勝手審査員は絶対評価で審査致します。
それでは、勝手審査員の先生方を紹介致します。
田原先生
現役のクラリネット奏者。日本のトッププロとの共演は数知れず、ますます大活躍の先生です。交友関係も素晴らしく、指揮者の佐渡裕氏とはゴルフ友達。同郷の作曲家天野正道氏、指揮者でクラリネット奏者の佐川氏とも交友があります。現役時代にたった40人足らずの部員に自身編曲のマーラー交響曲3番をやってのけるという限界を超えた音楽家。
長島先生
金管、木管と幅広い知識があり、骨格のしっかりしたバリトンサックスは素晴らしく、そのまま骨格のしっかりした建築家として譜面を図面に変えて活躍されています。現役時代はドラムメジャーとして 颯爽と我々部員を先導する姿に「みなと祭り」の観客をうっとりさせていました。ただ、今では その事実が想像もできないくらい ご立派な体型に成長されてます。
斎藤先生
トランペットの名手。現役時代部長として皆をまとめる。今は、金管を金融に変え、北陸の金融王として中小企業を助けている。と我々は信じています。しかし、何があったか知らないが、現役自体とは姿形を変え、道ですれ違っても分からないように変装していて、その上、戸籍まで変えて北陸を暗躍している。らしい、、
直子先生
バスクラリネットの名手。その幅広い音色は聴衆を暖かく包み込む。体重39キロ内田先輩の厳しい訓練に耐え、優しい音色に芯が入る。うら若き美少女も今ではお孫さんをかわいがるお婆さまに成長。家族を見守る優しい音楽が審査基準になるでしょう。
松島先生
どのパートをなさってたのか全く知らないんですが。宴会では その優しい気配りが皆の心を一つにさせる。きっと伴奏を演奏するときはソリストに気配りしソリストが演奏しやすいように配慮して伴奏する。ソロを演奏するときは、独りよがりにならず、伴奏の心を感じてメロディを奏でる。そのような配慮をする「気配り音楽」が審査基準になることでしょう。
私
3歳よりピアノを習い、中学高校は吹奏楽部でトロンボーン、高校ではビックバンドに参加し、ニューハードの森憲治よりジャズ奏法を習う。そのバンドには歌手になった八神純子も参加。大学ではファゴットと学生指揮。いまは毎月2〜3回クラシックのコンサートに通う音楽マニア。真空管オーディオを愛す。
益田先生(途中から参加)
現役時代はクラリネットのトップでありコンマスでした。その軽やかな音色とおしゃれな演奏はソロで大喝采を浴びる。旅行に詳しく日本全国の名所を知り尽くす。今回は多忙で遅刻しての参加となりました。現役時代学生指揮者の松尾先輩と二人で吹奏楽部のサウンド作りをリードした名ソリスト。審査基準は「郷土愛」か
1:北海道教育大学函館校吹奏楽部 指揮:三笠裕也 2年連続23回目
課題曲5 自由曲 富士山−北斎の版画に触発されて 作曲:真島俊夫
課題曲
単に音を出すのでは無く、表現者として一つの物語として完結できるといいのですが、それは、アマチュアには難しい要求なんでしょうね。
自由曲も風景が浮かぶように心がけてもう一段階上質な演奏ができれば聴いていて嬉しく思えたことでしょう。
ただ、最後のブラスセクションの響きが良く今後の発展が期待できそうです。
勝手審査員 田C 長C 直B 斎C 松C 私C 勝手審査員評価 銅賞 審査結果 銅賞
2:神奈川大学吹奏楽部 指揮:小澤俊朗 4年連続44回目
課題曲5 自由曲 バッハの名による幻想曲とフーガ 作曲:F・リスト 編曲:田村文生
課題曲 シンバルの導入からピッコロへのつなぎが素晴らしい。焔をとおして見えてくる人々の思い、不安、苦しみ、期待が見える。丁寧なテンポ感も絶妙です。この部分がどういう部分なのかを全体の中で理解して演奏しています。最初のピッコロのテーマがその後いろんな楽器に同じ意思で伝わっていきます。最後は指揮棒が降りてからの絶妙な間合いで音を閉じました。
自由曲 バスクラから始まりドラマでの最初の音の流れ方が素晴らしい。BACHのテーマが表情を変えて他の楽器へと引き継がれます。
全員が一つの楽器になって演奏しています。中盤テンポが速くなっても絶対スベること無くしっかりリズムが刻まれていきます。音の混ぜ方が抜群にいい。オルガンの音を意識した奏法も嬉しい。最後はバスに余韻を残させて音楽が終わりました。
勝手審査員 田A 長A 直A 斎A 松A 私A 勝手審査員評価 金賞 審査結果 金賞
3:文教大学吹奏楽部 指揮:佐川聖二 5年連続24回目
課題曲5 自由曲 風伯の乱舞 作曲:石毛里佳
佐川さんいつものグレーで登場。両手を肩甲骨から大きく動かす指揮ぶりです。背中を見ているだけでどのように歌って欲しいかが分かります。この肩甲骨の動きを私のゴルフでも勉強し生かしたいと思いました。
課題曲 クラリネットを中心にした木管の響きが豊かで気持ちいい。
ただ一生懸命歌おうという気持ちが強すぎ、力んで歌っているようにも聴こえる部分があります、ここは好き嫌いの分かれるところです。
最後は思いっきり指揮棒を振り下ろして音楽を閉じました。
自由曲も歌い方が力んでいるようにも聴こえ、一生懸命歌う気持ちはよく分かるのですが、名古屋弁の河村市長のようにクドく感じるところもあります。
このクドさがツボにはまる時もありますが、今回は私のツボにははまりませんでした。
でも、これが佐川さんのいいところで、私の好きなところです。
場内大拍手でした。
勝手審査員 田A 長A 直A 斎A 松A 私B 勝手審査員評価 金賞 審査結果 金賞
4:四国大学吹奏楽部 指揮:楫完治 初出場
課題曲1 自由曲 吹奏楽のための叙情的「祭」 作曲 :伊藤康英
並び方が上手側に偏ってます。その並び方をみて どんな音が出てくるのか想像してしまうのです。偏った並び方を見てしまうと、バランスの良い音が出るようには見えないものなのです。
音が出る前って結構重要なんです。見た目も大事です。
指揮者の名前がカジカンジという覚えやすい名前です。楫という漢字 (カジというカンジでカジカンジ)と覚えました。
課題曲 1拍目のバスが弱く、裏拍が目立ってしまいます。その上、刻むリズムが遅れるため、不安定なマーチになっていました。
自由曲も一拍目が決まらずこれも不安に聞こえてしまいます。
でも、四国から出てきてくれただけで十分。来年も出て欲しい。来年全国大会は倉敷なので近いから出てきてね。
時々バランスの良い素敵なサウンドか聴こえます。倉敷では成長された姿を待ってます。
勝手審査員 田C 長C 直C 斎C 松C 私C 勝手審査員評価 銅賞 審査結果 銅賞
5:東海大学吹奏楽研究会 指揮:福本信太郎 6年連続9回目
課題曲5 自由曲 時には道は美し〜愛について〜 作曲 長生淳
ピッコロから始まり曲が終わるまでピーンと張りつめた緊張感。一本の美しい絹の糸に纏わりながら揺れている微妙な表情の変化を表現しています。曲の解釈も音の作り方も緊張感の流れの中に優しい映像を感じさせる気持ちのいい音楽でした。
自由曲も、しなやかでクセもなく気持ちのいいサウンド、歌い方。とても素晴らしい。
ただ、昨年の誤審(あえて誤審と言わせていただきます)の影響か、全体の作り方を大味にしていて、この団体でこの指揮者ならもっと深く繊細な味を見せてくれるはずでしたが、今回は金賞を受賞するために解釈のレベルを落として大味にして、一般受けするように作ったように思いました。その点だけは非常に残念です。
それだけ音楽の深みの分かる審査をお願いしたいと思った次第です。
6:九州情報大学吹奏楽部 指揮:屋比久勲 初出場
課題曲1 自由曲 エルフゲンの叫び 作曲 J・ローレンス
指揮者は恵比寿様のような笑顔で挨拶しました。
指揮者も団員も譜面台に楽譜はありません。暗譜演奏です。
課題曲のマーチはバスの一拍目 時々遅れるところがありましたが、音の形、雰囲気が前へ前へと進む感じで最高で気持ちいい。
自由曲はところどころ滑り気味にハショるところもありましたが、丁寧に作り上げたサウンド、音楽作りに感激です。
とても気持ちいい演奏で、この団体の演奏会を聴きに行きたいと思ったほどです。
素晴らしい!
7:静岡大学吹奏楽団 指揮:」三田村健 4年連続14回目
課題曲1 自由曲 華麗なる舞曲 作曲:CTスミス
足が浮くようなマーチでしっかり歩けません。すべっているNです。
でも良く言えば勢いのある若者らしい演奏でした。
自由曲はリズムの滑るところが多く、相当練習しただろうとは思いますが、スピードを争う競技ではありません。オリンピックじゃないんです 早く演奏すればいい というものでは無いんですな。
あくまで音楽として物語を完結して欲しいと思いました。
ただ、演奏後、団員や指揮者は満足げで客席も大拍手。全国大会を見に来るお客さんは この曲の難しさを知っているんですね。
休憩
8:山口大学文化会吹奏楽部 指揮:松田和寛 5年ぶり6回目
課題曲5 自由曲 ハンガリー民謡「くじゃく」による変奏曲 作曲:コダーイ 編曲 森田一浩
課題曲 よく歌ってくれました。ただ、なにを語っているのかが聴き取りにくく、意味のある歌になれば もっと楽しく聴けたと思いました。
自由曲も音の終わりの処理に丁寧さが出ればもっと良くなると思いました。伴奏の人は旋律を良く聴いて演奏すると一体感も増すことでしょう。
勝手審査員 田C 長C 直B 斎B 松B 私C 益B 勝手審査員評価 銀賞 審査結果 銅賞
9:立正大学吹奏楽部 指揮:佐藤正人 19年ぶり2回目
課題曲2 自由曲 故郷・・・鼓響U 作曲 天野正道
課題曲 この曲をスペイン風に演奏するのは難しかったことでしょう。とても良く鳴らしているバンドですが、いろんな響き、音色に挑戦してくれれば表現力はもっと増すことでしょう。
自由曲 鳴らしていると言うより耳が痛いくらいのフォルテです。ホールと一緒に音楽を響かせて欲しいと思いました。後半の横笛スタンドプレーあたりから一層ノリが良くなってきましたが、強音炸裂で、とてもクラシックとは言えません。「宮間俊之とニューハード」のビックバンドを聴いてると思えば楽しいく立って踊りたくなる演奏です。会場大拍手!。でもそっちの方向もいいのですが、響きの変化や色合いの変化を出せる日本の吹奏楽界をリードするバンドになって欲しいと思いました。
勝手審査員 田B 長A 直A 斎A 松B 私B 益B 勝手審査員評価 銀賞 審査結果 銀賞
10:龍谷大学吹奏楽部 指揮:若林義人 3年連続20回目
課題曲3 自由曲 バレエ音楽「火の鳥」より 魔王カスチェイの凶悪な踊り、終曲 作曲:ストラヴィンスキー 編曲:デュカー
課題曲 昨年あたりから俄然拍子感を出すのが上手くなったこのバンドです。
こんな大きな音で毎日練習していて皆さんに耳は大丈夫なんでしょうか。
中盤のオーボエのソロをちゃんと聴いているのだろうかと疑うような一方的に跫音の伴奏陣。
昔、初めてにこのバンドを聴いた時は、もっとシンフォニックな素敵なサウンドだったと思います。
自由曲も耳を塞ぎたくなるような強音連発で頭が痛くなるくらいです。場所のせいなのでしょうか。
凶悪な踊り というより凶悪な大音量です。元々持っているシンフォニックなサウンドに戻って欲しいと思いました。
しかし、場内は大拍手!
勝手審査員 田A 長A 直B 斎A 松A 私C 益A 勝手審査員評価 金賞 審査結果 金賞
11:福岡工業大学吹奏楽団 指揮:柴田裕二 3年連続16回目
課題曲5 自由曲 バレエ音楽「中国の不思議な役人」より 作曲 バルトーク 編曲 加養浩幸
ここのバンドも音が大きくなってきました。でも龍谷よりは小さい音なので、なぜかシンフォニックに聴こえホッとします。
クレッシェンドなどの表現が知性的に展開してくれるともっといいと思いました。
自由曲も音が大きい。鳴らしっぱなしで大味です。
もっと音色に繊細な変化を感じさせて欲しいし、それができていたバンドです。
勝手審査員 田A 長B 直B 斎B 松A 私C 益A 勝手審査員評価 銀賞 審査結果 金賞
12:いわき明星大学吹奏楽団 指揮:根本直人 初出場
課題曲1 自由曲 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番よりシャコンヌ 作曲 バッハ 編曲 根本直人
この指揮者直人をナオトと読むのでなくナオンドとよむのですね
最初のクラリネットの歌い方がタメがあって素敵です。バスもしっかりとリズムをきざんでくれます。
青空に高く響く気持ちのいい演奏でとても良かったです。
自由曲も力演でしたが 無理に鳴らそうとせず 少人数なりのpやppが聴きたいと思いました。
勝手審査員 田C 長B 直B 斎C 松B 私C 益A 勝手審査員評価 銀賞 審査結果 銅賞
13:金沢大学吹奏楽団 指揮:長田明 5年ぶり17回目
課題曲3 自由曲 カントゥス・ソナーレ 作曲:鈴木英史
バランスが良く シンフォニックなサウンドで気持ちいい。 最初のスネアさん、もう少し締まったリズムを刻めると音楽が前に広がっていくと思いました。
緊張感のある部分と解放された部分の表現の対比ができると もっと素敵になると思いました。
自由曲も いいサウンドで素晴らしい。あとは、このドラマチックな曲をちゃんと物語にして聴衆を納得させてくれると さらにいい演奏となることでしょう。
勝手審査員 田B 長B 直B 斎B 松C 私C 益B 勝手審査員評価 銀賞 審査結果 銀賞
さて、いつもより1団体多い13団体の皆様。お疲れ様でした。
勝手審査員と審査員との評価の差は、たぶん絶対評価と相対評価の違いでは内でしょうか。
今回の勝手審査員の評価は 金賞4団体 銀賞7団体 銅賞2団体
本物審査員の評価は 金賞5団体 銀賞3団体 銅賞5団体
絶対評価の場合 金でも銅でもない つまりBの評価が多くなりがちです。この差であったと思います。つまり、我々勝手審査員の結果が正統な評価であったと思われます。
このところの全国大会を聴いてて心配なことがあります。
音楽の作りが荒く、大味。そして大音量。音の強弱だけで音楽をとらえているバンドが多く、そして、そのバンドでも金賞の評価を得ています。
私の大好きな吹奏楽は そんな程度のものでは無く、もっともっと繊細で微妙な表現ができるはずです。
たぶん指導者の皆様は分かっているはずです。
大味で大音量のバンドが金賞を受賞し、吹奏楽なんて この程度でいい と思われては困るのです。
審査員の皆様。是非とも将来の日本の吹奏楽の発展に向けて細かく見て審査をお願いしたい。そのためにも相対評価は反対です。 絶対評価にしていただきたい。
今回も今後も明和テレビは絶対評価で審査いたします。
勝手審査員の皆様 今後ともご協力をお願い致します。