とっぷでーす もどりまーす
2013年全日本吹奏楽コンクール大学の部
今年は、日本の吹奏楽に貢献いただいた先生方が他界され、悲しい年になりました。
藤田玄播先生、三善晃先生、吹奏楽の世界に多くの愛すべき作品を残してくれた先生方の死はとてもショックです。
思えば私が現役の昭和50年代、日本人による吹奏楽作品はほとんどなく、コンクールでは外国作品だらけ。邦人作品で臨む団体は本当に少なかった。
しかし、今ではなんと、半分以上の団体が邦人作品を自由曲に選んで全国大会に進めています。
今年の「大学の部」も全12団体中7団体が日本人作品を選んでます。
藤田玄播先生の作品も、三善晃先生の作品もあります。
このような時代を迎えることができたのは、両先生の功績大と思います。
そしてもう一人、駒澤大学の素晴らしいサウンドを作り上げた上埜孝先生も今年7月にお亡くなりになりました。
「春の祭典(ストラビンスキー)」「中国の不思議な役人(バルトーク)」などのフルオーケストラ作品を当時の駒大の編成に合わせて見事に編曲され、それを手先をストンストンと落とす独特の指揮で迫力のある音楽に仕上げ、歴史に残る名演奏へと導かれてました。
指揮台へゆっくり足を運びながら慎重に歩く姿と、そのエネルギッシュな演奏との対比に、いつも驚かされました。
今年は、駒澤大学にとって辛い年になったと思います。
さて、そろそろ田原会長との待ち合わせ時間です。
「おう、木野君」と まず握手
近くにみえた東海大学OBの人とも仲良く談笑して見えます。
会長は、東京都の大吹連の人たちにもお友達がいるようです。
ほんとにお顔の広い田原会長。
お話を聞きますと、今度クラリネットアンサンブルをなさるそうで、その編曲を世界吹奏楽作曲コンクール優勝者の真島俊夫氏やビートたけし主演の映画「バトルロワイヤル」の作曲家天野正道氏が作ってくれたのだそうです。
なんという政治力
我々OB会長として頼もしいかぎりです。
私たちは、1階ステージを見て左よりの席に座って開演を待ちました。
お客さん満員です。
ブーーー
ウルサイ、なんだこの音は、
昔の映画館のような予鈴です。
このような予鈴は、四国松山での全国大会以来だ。
14時50分 開会の挨拶と審査員9名の紹介が始まりました。
今年から、審査方法が変わったようです。
いままでは、課題曲と自由曲を音楽性と技術の2項目に分けて5段階表示をしてました。
つまり、5段階表示×(課題曲音楽性+課題曲技術+自由曲音楽性+自由曲技術)=20点満点での審査でした。
今年からは、課題曲と自由曲を音楽性とか技術とか関係なく3段階表示(ABC)で採点するそうです。
課題曲3段階と自由曲3段階です。
その結果、A評価が過半数あれば「金賞」
C評価が過半数あれば「銅賞」
それ以外が「銀賞」
という結果になります。
今回私たちは新基準に従いまして、勝手に審査をしたいと思います。
14時55分 1番の広島大学セッティング完了
私は心配になりました。15時ちょうどにスタートするとなるとこの5分間ステージ上で待っているのは酷ではないか。
精神面でもチューニング面でも持続できるだろうか。と心配してましたが、
14時57分 アナウンスが流れ、音楽もスタートでき心配は気苦労に終わりました。
1番:中国支部代表 広島大学吹奏楽団 指揮:中村慎之介
4/バレエ音楽「中国の不思議な役人:バルトーク作曲 杉本幸一編曲
男子も女子も黒の上下、女性も全員ズボンです。並び方は神大スタイルで最前列ステージをみて左からクラリネットフルートオーボエ
正面2列目にフルート
右列2列目3列目とサックスその後ろにチューバと弦ベース
とても見やすい振り方をされる指揮者でした。曲の作り方も心得ていて、最後の盛り上がりも説得力がありました。
オーボエ君も楽器を持ち替えて大活躍
チューニングが合っていれば、指揮者の意図がもっと伝わってきたと思います。
勝手審査員 私 課題曲C自由曲C 会長 課題曲B自由曲C 結果 銅賞
2番:九州支部代表 福岡教育大学吹奏楽部 指揮:白石勇貴
3/竹取物語:三善晃作曲 天野正道編曲
団体の入れ替えは、ステージを見て左奥側の反響板を2mほど下げて入口を広くし、スムーズに進行させるようにと工夫されてました。
この指揮者は拍と拍の間に遊びを入れて、演奏者がテンポを感じやすいように安定感のある振り方をされてました。
みなさんとても表情豊かに演奏されてました。ただ、金管が響きすぎ、木管の大切なところが聴こえない場所もあり、全体のバランスを考えて演奏されるともっと豊かな表情になるのではと感じました。
勝手審査員 私BC 会長CC 結果 銀賞
3番:関西支部代表 近畿大学吹奏楽部 指揮:森下治郎
V/輝かしい交響曲:ゴトコフスキー作曲
左3列にクラリネット、正面から右にかけてフルート 正面2列目にオーボエとファゴット 右2列目と3列目にサックス その後ろにチューバと弦ベース
金管、木管とバランスよく豊かな近大サウンドをホールに響かせてました。
ただ、私には、指揮者の解釈が高度すぎるのか、課題曲も自由曲もその意図が分かりませんでした。これは、私の方に問題があるのでしょう。
素晴らしいサウンドを聴くことができて満足です。
勝手審査員 私BB 会長BB 結果 銀賞
4番:東海支代表 静岡大学吹奏楽団 指揮:三田村健
3/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より「夜明け」「全員の踊り」:ラヴェル作曲 三田村健編曲
並び方は神大と同じで左にクラリネット3列 正面フルート 右オーボエ 右2列目アルトサックス ファゴット 3列目サックス コントラバスクラ その後ろにチューバ 弦ベース
課題曲 楽しく演奏しようとしているのが伝わります。最後のスタンドプレーも面白かった。
自由曲 表現しようとするのが良く伝わってきましたが、夜の静けさ、暗さ、不安というものを表現するには音が大きすぎて損していると思いました。それゆえ夜明けの喜びの感動を私は感じることが出来ませんでした。
以前聴いた時より音が荒くなっているように感じましたが練習不足だったのでしょうか
勝手審査員 私BC 会長AA 結果 銀賞
5番:関西支部代表 関西学院大学応援団総部吹奏楽部 指揮:近藤久敦
5/宇宙の音楽:スパーク作曲
どうでもいいことですが、本日初めて女性がスカート(ロング)で登場。
左1列目2列目とクラリネット 正面から右へフルート 正面2列目にオーボエ ファゴット 右2列目サックス 3列目サックス バスクラ コントラバスクラ その後ろにチューバと弦ベース
課題曲5を初めて物語として理解できました。聴いていて心がゆれ 湧き上がる力強い命のようなものを感じながら聴いてました。
課題曲終了後に拍手したいと思ったくらいです。
課題曲終了後から自由曲が始まるまで楽器の持ち替えなどで席を移動する人がいなかったので、集中力を持続しながら自由曲へと気持ちを持っていくことが出来ました。
こういう細かいことはとても重要なことです。
自由曲もメリハリのきいた素晴らしい演奏。コールアングレもファゴットも見事なソロ。テュッティの中でも見せるべき旋律をちゃんと浮かせているので音楽が切れることなく大きな物語を楽しませてくれました。場面の変化も見事です。
出来れば、もっと木管の人数を増やして、トロンボーンを数人減らしていただければよりシンフォニックなバランスになったことでしょう。
私としては金賞の演奏でしたが結果は銀 とても残念。
勝手審査員 私AA 会長AA 結果 銀賞
6番:九州支部代表 福岡大学応援指導部吹奏楽部 指揮:花岡金光
5/天使ミカエルの嘆き:藤田玄播作曲
最前列にクラリネット群、左2列目にフルート、正面2列目オーボエ、右2列目3列目とサックス、その後ろにチューバと弦ベース
課題曲5は難しい。聴いてる私たちを納得させるには指揮者の深い理解力とそれを音楽として伝える難しさがあるようです。
私は聴いていて、訴えるところが分かりませんでした。
私の理解力の問題だと思います。
自由曲のユーホニウム。とても大切なソロでソリストも緊張なさったと思います。明るく豊かな音で歌ってくれました。ただ、私はもっと暗く悲しげな歌い方の方が好きです。
そのあとのブラスセクションも明るく元気がいいのですが、この曲の物語はもう少し深い悲しみを乗り越えた嬉しさのような歌い方の方が私は好きなんです。
勝手審査員 私CC 会長BB 結果 銅賞
7番:西関東支部代表 文教大学吹奏楽部 指揮:佐川聖二
5/ラ・フォルム・ドゥ・シャク・アムール・ジョンジュ・コム・ル・カレイドスコープ:天野正道作曲
まず、この長い長い曲名をアナウンサーが噛まずに言えるかどうかと注目してました。が、さすが福岡のアナウンサーです。みごと、スラリと言い切りました。
ちなみに私は何回読んでも言えません。
並び方は神大並び。最前列左からフルート オーボエ 左2列目3列目とクラリネット、右2列目ファゴット、3列目サックス その後ろにチューバと弦ベース
相変わらず色っぽい音です。音の処理がとてもとても丁寧で最後の最後まで手を抜きません。
佐川先生、指揮棒持たずに両手をひらひらと団員をあおるように指示してます。
いつもながら、文教大学の音は気持ちいい。心の暖かさ、やさしさ、人生の辛さ、それを乗り越える力強さを心の底にジンジン伝わってきます。
最後は佐川先生、手のひらを3回ひらひらとあおって演奏を終了いたしました。素晴らしいです。
勝手審査員 私AA 会長AA 結果 金賞
8番:北海道支部代表 札幌大学吹奏楽部 指揮:今井敏勝
5/交響的断章:ネリベル作曲
左1列目2列目とクラリネット、その後ろがホルン 正面フルート 正面2列目にバスクラ ファゴット 右前列オーボエ 2列目3列目とサックス その後ろにチューバと弦ベース
指揮者の意図と団員の音が違っているような印象を受けました。部分部分に面白い表現があり、楽しめました。
自由曲も最初から最後まで同じような表情をしていて、もっと抑揚があれば、さらに楽しく聴けたのではと感じました。
勝手審査員 私BB 会長CB 結果 銅賞
9番:東北支部代表 東北福祉大学吹奏楽部 指揮:松崎泰賢
5/光の射す道へ~ぬくもりの在処:八木澤教司
最前列フルート オーボエ 左2列目クラリネット 右2列目ファゴット バスクラ その後ろにチューバと弦ベース
ほんとうに課題曲Ⅴは難しい。私はストーリーを感じることが出来ませんでした。
自由曲も結構あっさりしていて、昔聴いた松崎先生の独特な節回しを今回は聴けず、私としては少し残念でした。
でも、さわやかな皆さんでした。
勝手審査員 私CC 会長CB 結果 銀賞
10番;東関東支部代表 神奈川大学吹奏楽部 指揮:小澤俊朗
5/魁響の譜:三善晃作曲 小澤俊朗編曲
「打つ前にミスをするな」
トップアマチュアゴルファーの阪田哲夫の言葉です。
スタンスはターゲットに向いているか、肩は開きすぎではないか、力が入りすぎていないか。
打つ前にミスをしていては良い結果は得られません。
神大は、音を出す前なのに、並び方がきれいで完璧なので、良い音楽が聴けるような雰囲気が出ているのです。
冒頭サックスの神秘的なソロがグー、トロンボーンから悩ましげになり、それぞれのフレーズが完結している。不協和音も完璧にチューニングされているので、作曲家の意図通りに描かれていると感じました。
最後は大魔神が重い重い鉄の棍棒を振り回し短刀についた血しぶきをフルートが吹き下ろす。というような終わり方でした。
ゾクゾク身震いするような演奏でした。
自由曲は三善晃氏の作品。
先生の曲は魂のような音の塊がバンバン投げ込まれ、悲鳴のような旋律がその隙間をくぐってきます。
本年10月8日他界されましたが、それを知らせる新聞に三善先生の戦争体験談を語った記事がありました。
「多摩川で水遊びしていたら、隣にいた子供たちが機銃掃射で真っ赤に血を流して死んでしまった。それを見ても自分はただ着替えて家に戻ってくるだけなのです。累々と死体が横たわっている上を私はまったく無感動で、死体を飛び越えて歩いていたのです。天に向かって突き出ている死体の指を引っ張ったら、手袋が脱げるように肉が取れた。その後、私は生きていることの罪の意識から離れることができなかった」
これを読んで初めて三善作品に現れる音塊や独特の旋律にある背景を理解しました。
神大は三善先生の意図を十分に理解させる演奏だったと思います。
低音の地鳴りから始まりました。
ドラが静かに打たれたあとの”間”が長くて怖い。
フルートのビブラートがそれを増幅される。
そこからまぶしい光が走り、神が私たちに警告する。
トムトムに乗って音の塊が次々にぶつかってくる。
ぶつかって塊が結合し、それが大きくなる。
大音量の後
静かなるティンパニの湿った不安なリズム。これがミシミシと足元から近づいてくる。ぐーーと迫った後にテンポアップし激しく楽器が入れ替わる。
最後はしっかりと弦バスとチューバが締めてくれました。
オーケストラにはない吹奏楽独自の有利さを小澤神大は持っている。
えげつない表現力で聴衆を魅了しました。
勝手審査員 私AA 会長AA 結果 金賞
11番:北陸支部代表 富山大学吹奏楽団 指揮:建部知弘
3/鼓響・・・故郷:天野正道
左1列目2列目とクラリネット 正面フルート 右にオーボエ 右2列目3列目とサックス その後ろにチューバと弦ベース
課題曲 とても楽しく面白く、すばらしい表現力でした。スピードの変化もあり観客も前へ前へと乗り出していけるウキウキする演奏でした。
最後ベルアップも駒澤バリに決まりました。(建部君は駒澤OB)
課題曲終わったところで拍手をしたくなるような演奏でした。
自由曲も抑揚をつけ、表情豊かに演奏してました。リズムよく乗って行けて演奏後は大拍手です。
音楽はグッド、あとは音です。音作りです建部先生!
勝手審査員 私BC 会長CB 結果 銀賞
12番:東京支部代表 東海大学吹奏楽研究会 指揮:福本信太郎
5/久堅の幹:長生淳作曲
指揮者はサウスポー、左手に指揮棒を持ってます。
課題曲 いい音で深い表現が伝わってきました。とてもいい演奏なんでしょうが、神大を聴いた後ではもっといい表現ができないものかと思ってしまいます。
自由曲 とてもいい音です。一生懸命に表現しようとしているのがジトジトと伝わってきます。しかし長生作品は難しい。メロディラインをつないでつないでいかないと、歌の流れが分からなくなってしまいます。
勝手審査員 私BB 会長AA 結果 金賞
いやあ、全団体の皆さん お疲れ様でした。そしてありがとうございました。
ほぼ時間通りに運営された福岡吹奏楽連盟の皆様にも大感謝です。
さあ、コンクールの審査員による結果は上記の通りでしたが、私たち勝手審査員も勝手にルール(Aが過半数なら金)にしたがって各賞を発表したいと思います。
会長、お願いします。
田原会長「えー、それでは発表いたします。出演順です。厳粛なる審査の結果、勝手ゴールド金賞は次の三団体です。」
会長「関西学院大学」「おーー!!パチパチパチ」
会長「文教大学」「わぁーー!!キャーー!」
会長「神奈川大学」「バンザーイ!!」
会長「以上で発表を終わりますが、寄り道せず繁華街をさけ まっすぐ家に帰りましょう。家に着くまでがコンクールです。」 「はーーぃ!!」
さあ、会長 中洲へGO!
なんじゃこりゃ