2004全日本吹奏楽コンクール大学の部 本文へジャンプ

いやあ、参りました。私はてっきり東京芸術劇場だと思い込んでおり、東京から山手線で池袋まで行ってしまったのです。会場に着いたとき、雰囲気の違いに気づき、チケットを確認したら「東京文化会館」と書いてあるではありませんか。あわてて山手線を上野まで戻り、なんとか開演には間に合いました。私が座ったのは、上手側の2階席でした。


予鈴の後、塚田先生が「先週の中高生は、とてもすばらしい演奏を聴かせてくれました。今日と明日は大学・職場・一般です。ぜひ大人の演奏を期待いたします。」


1:東京都代表:中央大学学友会文化連盟音楽研究会吹奏楽部

 指揮:小塚類  2年連続29回目 課題曲T 

 自由曲:交響曲第1番ニ短調作品13より第四楽章/Sラフマニノフ作曲・築地隆編曲

課題曲はリズミカルな曲なのに、拍子の面白さがなく、平坦に感じました。でも後半の歌いだしは良かったと思いました。

自由曲はアレンジ物なので弦楽器特有の心地よい余韻が表現できればもっといいと思いました。最後は音量で無理やり盛り上げてくれました。

私的意見 課題曲B− 自由曲B 結果 銀賞


2:東海地区代表 三重大学吹奏楽団

 指揮:沖公智 2年連続29回目 課題曲T

 自由曲:交響組曲「春」より第U楽章/ドビュッシー作曲・沖公智編曲

課題曲の出だしは、うきうきさせてくれるような演奏でしたが、リズム感が平坦なのが残念でした。

自由曲は、沖先生のすばらしいアレンジで、色彩感も良く楽しく聴けました。銅賞は気の毒とおもいましたが、出演順位2番というのは、難しいんです。昨年の近畿も2番でした。順番が悪かったんだとおもいます。来年も期待してます。

私的意見 課題曲B− 自由曲B+ 結果 銅賞


3:東北地区代表 東北福祉大学吹奏楽部

 指揮:松崎泰賢 2年連続3回目 課題曲W

 自由曲:「スイート・エキセントリック」より/天野正道作曲

女性が白のブレザーで男子が黒。女性が多いので全体が白い中、黒が点在していました。ブレザーの色をどちらかに統一したらどうでしょうか。

課題曲、ドラマチックに展開する曲なので、いろんな色が見えたらもっと楽しくなったと思います。

自由曲もめまぐるしく展開する曲でしたが、曲想は変わっても表現に変化を感じることは出来ませんでした。でもこの手の曲の指揮者が大変ですね。

私的意見 課題曲C 自由曲C− 結果 銀賞


4:東関東代表 流通経済大学吹奏楽部

 指揮:喜多原和人 4年ぶり2回目 課題曲U

 自由曲:交響曲2番「キリストの受難」/F・フェルラン作曲

ピアニストが客席真正面にお尻を向ける並び方は一考なかったでしょうか。斜めに収めた方が奏者も指揮者を見やすいと思います。

課題曲、音の一つ一つに意味を感じることが出来ませんでした。また、クラリネット4本に対してTb5本、Tu5本+弦B1という編成はいかがなものでしょうか。クラリネットがかわいそう。

自由曲、指揮者がとても乗っていて、演奏者もそれに応えていました。とてもチームワークがいいバンドと感じました。

私的意見 課題曲C− 自由曲C- 結果 銀賞


5:九州地区代表 福岡工業大学吹奏楽団

 指揮:柴田裕二 3年連続7回目 課題曲W

 自由曲:シンフォニックバンドのためのパッサカリア/兼田敏作曲

おっと、ドラムセットがない。いつもビックバンドのような人数で出てくる福工大。パーカッションはドラムセットを使って一人でがんばってましたが、今年は倍くらいの人数。毎年楽しみで、期待しているバンドなので、注目して聴きました。

課題曲、ここは、一人一人のレベルが高く、皆自分の役割を分かっている大人のバンドです。ただ、指揮者のクセなのか、アウフタクトが重くなる。丁寧に演奏しようとする気持ちは分かりますが、不安な気持ちになりました。

自由曲も祈りの表現が良く伝わってきました。三拍子も上手く表現できてます。こころのこもった演奏で聴いていて涙が出そうでした。

初金賞おめでとうございます。来年3出でお休みになるのはとてもつらい。いつも思うが3出制度は3金制度に変えれないでしょうか。やっと金賞を取り、来年からもっと上昇していくバンドが一年みになり、2年後まで緊張感を持続するのは大変なことと思います。ぜひとも来年を有意義に使って2年後また金賞を取っていただきたい。

私的意見 課題曲B+ 自由曲A 結果 金賞


6:北陸代表 金沢大学吹奏楽団

 指揮:新井田悠 3年連続11回目 課題曲T

 自由曲:ジェリコ/B・アッペルモント作曲

課題曲、ピッチのずれとソロの音程が気になりましたが歌っているのは良く分かりました。

自由曲、やはり音程が気になりました。音に意味をもって表現してほしいと思いました。

私的意見 課題曲C+ 自由曲C 結果 銀賞


7:西関東代表 文教大学吹奏楽部

 指揮:佐川聖二 休み明け14回目 課題曲T

 自由曲:「交響曲8番」より/アーノルド作曲・瀬尾宗利編曲

課題曲、隅々まで譜面を研究されているのが良く分かります。すばらしい音楽。拍子木が気持ち間を空けて演奏するところが心憎い。指揮者の振りに聴いている私も体が動いてきます。

自由曲、ドラマチックでメルヘンチックで、今日はじめて音楽を楽しめました。こういう指揮者で演奏できる学生さんは幸せだと思います。ブラボー

私的意見 課題曲A+ 自由曲A+ 結果 金賞


8:関西代表 立命館大学応援団吹奏楽部

 指揮:篠原庸浩 初出場 課題曲U

 自由曲:3つの交響的素描「海」より 風と海との対話/ドビュッシー作曲・淀彰編曲

課題曲、主役と脇役の音のバランスが悪かったのではないでしょうか。でもさすが関西代表です。

自由曲、ピッチのせいか色彩感が今ひとつ出てなかったと思います。音楽としては楽しく聴けました。

私的意見 課題曲B 自由曲B+ 結果 銀賞


9:東京都代表 駒澤大学吹奏楽部

 指揮:上埜孝 休み明け17回目 課題曲V

 自由曲:組曲「惑星」より木星/ホルスト作曲・建部知弘編曲

弦バスに自前で台を持ってくるところが心憎い。

課題曲、表情豊かで楽しく聴けました。おもしろかった。

自由曲、「木星 快楽をもたらすもの」とあるが、よほど嬉しかったのか大宴会になってしまった木星。私は、落ち込んだとき、70年代の駒澤CD「レジェンダリー」を聴くと元気が出ます。ここ数年の駒澤は当時と変わり、綺麗な表現をするバンドになってきたと思ってましたが、今年は昔の黄金時代の駒澤に戻ったようで、面白かった。今回の演奏は芸術的というよりも駒澤的っという感じ。来年は火星かな。

指摘意見 課題曲A+ 自由曲A− 結果 金賞


10:関西代表 龍谷大学学友会学術文化局吹奏楽部

 指揮:若林義人 3年連続11回目 課題曲X

 自由曲:七五三/洒井格作曲

課題曲、とても綺麗な音です。テンポ感がもっと出てほしい。

自由曲、これも綺麗に上手くまとめた好演ですが、金賞の常連となった今は、それだけでは聴き手は満足できません。もっといろんな表現力を使って心を揺らしてほしい。

私的意見 課題曲B+ 自由曲B+ 結果 金賞


11:北海道代表 北海道教育大学函館吹奏楽部

 指揮:渡部謙一 2年ぶり20回目 課題曲V

 自由曲:南蛮回路/伊佐治直作曲

指揮者、黒い上着に赤いシャツ。面白い人なんでしょうね。

課題曲、フレーズごとに歌ってくれてるが、全体としての訴えがほしかった。

自由曲、歌あり、リコーダーあり、ホースのようなものをクルクル回したり、DVD的な演奏でした。CDで聴く人は残念ですね。ブレーンからDVD−Rの発売があるようなので、買ってみたら倍楽しめると思います。

私的意見 課題曲C+ 自由曲B 結果 銅賞


12:中国代表 川崎医療福祉大学ハートフルウインズ

 指揮:岩田俊哉 4年ぶり3回目 課題曲X

 自由曲:神秘な運命の旅-E.S.C.A.pade-/Jスパニョーラ作曲

課題曲、毎回ここのバンドは音にやさしさを感じます。

自由曲、せっかくスタンドプレーしたのだから、もっと体で表現してみたらよかったと思います。

私的意見 課題曲B− 自由曲C+ 結果 銅賞


まとめ

福岡工業大学の皆さん、初金賞おめでとうございます。数年前から個人的に注目していたバンドなので私も嬉しく思います。来年の休みはハンディにならないように濃い1年を過ごしてください。三重大学は残念でした。いい演奏だったと思います。駒沢大は昔の雰囲気が復活してコンクールに来る楽しみが増えました。文教大はさすがです。わくわくします。龍谷大は今年も綺麗な音を聴かせてくれました。来年お休みなのは残念です。そのぶん、初出場の立命大にがんばっていただきたいと思います。皆様の熱い演奏。ありがとうございました。来年は大阪です。


9月26日アップ分

各地区予選を通過した代表の皆さんが揃いましたので、恒例の全日本吹奏楽コンクールの予想を行いたいと思います。

今年は、神奈川大学がお休みの年になります。私としては寂しいコンクールになります。前回のお休みも東京芸術劇場の年でしたが、ここはとても良いホールなので、連盟の皆様も同じホールで休みが続かないように何とか工夫をお願いしたいと思います。


日時:2004年10月30日15時開始

場所:東京芸術劇場大ホール

課題曲 T 吹奏楽のための「風之舞」/福田洋介作曲

      U エアーズ/田嶋勉作曲

       V 祈りの旅/北爪道夫作曲

        W 鳥たちの神話/藤井修作曲

         X サード/田渕浩二作曲


1:東京都代表:中央大学学友会文化連盟音楽研究会吹奏楽部

 指揮:小塚類  2年連続29回目 課題曲T 

 自由曲:交響曲第1番ニ短調作品13より第四楽章/Sラフマニノフ作曲・築地隆編曲

激戦の東京地区、代表は中央と駒沢でした。伝統ある中央は小塚さんに指揮者が変わって徐々に小塚先生の色になってきました。昨年金賞受賞。でも、私は林先生の頃の中央が好きです。


2:東海地区代表 三重大学吹奏楽団

 指揮:沖公智 2年連続29回目 課題曲T

 自由曲:交響組曲「春」より第U楽章/ドビュッシー作曲・沖公智編曲

沖先生得意のフランス物。私は沖先生の素直な曲作りは好きです。あとはクリアーな色彩感が出てくれることを期待します。


3:東北地区代表 東北福祉大学吹奏楽部

 指揮:松崎泰賢 2年連続3回目 課題曲W

 自由曲:「スイート・エキセントリック」より/天野正道作曲

ここも激戦の東北地区。昨年は情熱的な演奏をしてました。今年も期待できそう。


4:東関東代表 流通経済大学吹奏楽部

 指揮:喜多原和人 4年ぶり2回目 課題曲U

 自由曲:交響曲2番「キリストの受難」/F・フェルラン作曲

神大の休みの年は、今回も流通経済大学でした。昨年の予選ではバランスのいい綺麗な演奏をしてました。東関東の層の厚さを見せてほしい。


5:九州地区代表 福岡工業大学吹奏楽団

 指揮:柴田裕二 3年連続7回目 課題曲W

 自由曲:シンフォニックバンドのためのパッサカリア/兼田敏作曲

私が今年もっとも注目して期待するバンド。個人技のレベルが高く、毎年無理ない曲をしっかり表現してくれます。ことしこそ金を。


6:北陸代表 金沢大学吹奏楽団

 指揮:新井田悠 3年連続11回目 課題曲T

 自由曲:ジェリコ/B・アッペルモント作曲

ジェリコといってもグールドのジェリコでなく新曲のようです。伝統的にクリアーな音で楽しませてくれます。


7:西関東代表 文教大学吹奏楽部

 指揮:佐川聖二 休み明け14回目 課題曲T

 自由曲:「交響曲8番」より/アーノルド作曲・瀬尾宗利編曲

会場に来る人が多分一番期待するバンド。私も楽しみです。得意のアーノルド、今回はどのように魅了してくれるのか。


8:関西代表 立命館大学応援団吹奏楽部

 指揮:篠原庸浩 初出場 課題曲U

 自由曲:3つの交響的素描「海」より 風と海との対話/ドビュッシー作曲・淀彰編曲

今年の関西地区はいろいろありました。近畿大がまさかの大阪府大会の予選落ち。そして、立命館大学の初の快挙。「海」は多くの団体が取り上げてきた曲。指揮者の新鮮な表現に期待します。


9:東京都代表 駒澤大学吹奏楽部

 指揮:上埜孝 休み明け17回目 課題曲V

 自由曲:組曲「惑星」より木星/ホルスト作曲・建部知弘編曲

伝統の駒澤。今回は上埜先生編曲ではなく、私と同級生の建部君の編曲です。建部君がコンクールでいろんな楽器を持ち替えてソロをしていたのを覚えています。駒澤の次期指揮者はひょっとすると、、


10:関西代表 龍谷大学学友会学術文化局吹奏楽部

 指揮:若林義人 3年連続11回目 課題曲X

 自由曲:七五三/洒井格作曲

もはや関西の雄、龍谷。今年も洒井先生の新曲のようです。今年もすばらしい演奏をしてくれると思います。深い表現力を期待します。


11:北海道代表 北海道教育大学函館吹奏楽部

 指揮:渡部謙一 2年ぶり20回目 課題曲V

 自由曲:南蛮回路/伊佐治直作曲

北海道予選も激戦です。今年は伝統の函館校でした。北海道の2個目の金賞期待してます。


12:中国代表 川崎医療福祉大学ハートフルウインズ

 指揮:岩田俊哉 4年ぶり3回目 課題曲X

 自由曲:神秘な運命の旅-E.S.C.A.pade-/Jスパニョーラ作曲

昨年、中国地区に初金賞をもたらした広島大学を破っての代表復活。この地区のレベルも高くなってきました。楽しみです。


まとめ

年々、個性的な楽しい演奏が増えてきてます。とくに私が注目するのは、福岡工業大学。いつも少人数ながら音の厚みがあり、表現力もあります。次に初出場の立命館大学、いったいどんな演奏をして激戦区関西地区を勝ち抜いたのか。そして、川崎医療福祉大。ここもどんな演奏で昨年金賞の広島大を制したのかを聴いてみたい。最後に最も注目するのは文教大。ここの演奏を聴かなくてはコンクールに行った意味がない。


そして、金賞の予想は、順当なところで、文教大が当確。駒澤大、龍谷大もOKかな。中央大はボーダーラインと思いますが、出演順番1番というのは統計的に(数えたわけではないが)金賞取れるものです。しかも有力どころが後半に固まっているので、中央大も金賞かな。


あとは、私が期待する福岡工業大が一角をくずせるか、立命大が初出場初金賞のドラマを演じることができるか、が注目するところです。

とにかく、あと一ヶ月。代表の皆様、体に気をつけて練習に勉学にとがんばってください。いい思い出を作ってください。